黒紅花

「キタムラさん!

 それはこちらのお客様」

「えっあっ、すみません」

ドリンクを間違える始末。

今日の私は心ここに在らずで、接客のバイトも失敗続き。

失敗して慌てふためく私の姿を見て、ひさぎってば笑ってるし。

誰のせいでこんな風になってると思ってるの!


ピークに忙しかったお昼時を過ぎて、私はテーブルの上に片付けられることなく放置されたトレーの片付けをしていた。

ゴミを仕分ける私の傍に来た先輩は、紙コップを手に取るとお客様が飲み残したジュースを捨てる。

「キタムラさん、店長が今日はもう
 仕事あがっていいって
 彼氏、待たせてるんでしょう

 何があったかは知らないけど
 気が気じゃないみたいだし
 あれじゃ心配よねぇ

 さっきからずっと、あの調子だもの」