黒紅花

だから……

「何言ってるの?

 何してるの?」

ポタポタと零れ落ちる涙なんてこの際どうでもいい。

「正気なの?
 
 冗談やめて」

貴方の顔、ハァーと呆れた顔になる。

「それは、こっちの台詞だ

 こんなに近くに居ただなんて

 なあ、チトセ、少しでいい
 表に出て話せないか?」

今度はグッと真面目な顔つきになる貴方。

「困ります!」

その言葉だけを残してこの場を立ち去ろうとした私の手を、いつかのように貴方が掴む。

初めて貴方に触れた、あの感覚……

温かくて優しい手は変わらない。

「行かせるかよ
 困ってるのはこっちの方だ」

「キタムラさんっ!

 どうかしたの?」