黒紅花

「あっ、どうも失礼致しました
 
 いらっしゃいませ

 ご注文、お決まりでしょうか?」

「はい、……」

「……ですね

 申し訳ございません

 お時間が……お席までお持ち致します」

「いらっしゃいませ、ご注文は……?

 ……

 いらっしゃいませ」

お昼前だと言うのに店内にはお客様がたくさん。

お店が繁盛してくれるのは在り難い話だけど、アタフタしちゃう。

こればっかりは本当、慣れなくて困っちゃうよ。

フウ-、疲れる。

そんな心の声とは裏腹に、私は仕事をこなしていく。

「いらっしゃいませ、ご注文は……」

手元から視線を逸らし、目の前に立つお客様にニッコリと微笑みかけた私の唇が瞬時に引きつる。