「ひさぎ、見て、こんなに水を含んで
 重たいはずだよね?」

「あっ、ああ、そうだな」

ひさぎは、足元を見つめながら私に
カーディガンを差し出した。

その頬は、薄らと赤くなってる。

私は、ハッと気がついて慌てて
カーディガンを着た。

「ごめん・・・」

「何が?」

「ううん、何でもない」

流れる、何とも気まずい空気・・・

その時

ひさぎの手が私へと差し出された。

「傍まで行ってみよう」

「うん」

私は、ひさぎの手に触れる。

白い砂浜を手を繋いで歩く私達は
打ち寄せる波ギリギリで立ち止まる。

潮の香りよりも、強く香るのは
カーディガンから香る、ひさぎの香り。

ひさぎに抱きしめられてるみたい。

とっても心地いい・・・