黒紅花

学校から連絡が入ったら祖母が
心配することを私はわかってる

だけど、連絡したらきっと祖母
は今すぐ帰っておいでと、そう
私に言うだろう。

そう言われたら、私は帰らざる
を得なくなる。

今は、帰りたくない。

今は、貴方の傍に居たい。

ひさぎの傍に居る。

傍に居なきゃ、またひさぎを
見失いそうで・・・こわいの。

こわい・・・

この不安な想いが、この胸から
消えてなくなるまで、ひさぎと
一緒に・・・

この不安・・・

いつ、消えてくれる?

どうすれば、消える?

どうすれば・・・

貴方は、アイスコーヒーを一口
飲むと、ぼそっと言う。

「甘い」

私は、シロップの入った瓶を
見つめた。

「全部、入れちゃったの?」

「ああ」