バイクを停めて朝のファミリー
レストランに入った私達は人目
につかない、奥の席に案内して
もらって座る。

向き合って座るひさぎの半乾き
の髪から雫が落ち、貴方の肩を
濡らす。

私はカバンからハンカチタオル
を取り出し、ひさぎのその髪を
拭いてあげなきゃと、その手を
貴方へと伸ばした。

貴方は、私の手から逃れるよう
に体を後ろへと引いた。

何とも、気まずい空気・・・

「これ、使って」

「ああ

 お前は、いいの?」

「もうひとつあるから・・・」

「そう、サンキュ」

貴方は、私からハンカチを受け
取るとサッと髪を拭く。

「・・・・・・」

飲み物を注文してから数分が経
つのに、ひさぎは何も話さずに
深刻な顔をしてずっと何かを考
えているみたい。