黒紅花

「いいよ
 
 それよりナギ、大丈夫
 
 どう落ち着いた?」

「うん、泣いても
 何も解決しないもの
 
 それに、ヒサ兄の気持ちを
 考えたら、あの家には居ら
 れないよね
 
 あの家からヒサ兄を追い出
 したのは、わたし
 
 ひどい、妹・・・」

ぽろぽろと涙がつたう頬を
なぎは制服の袖で拭う。

「ナギ、そんなふうに
 自分を責めないで」

「ううん、私が悪いの
 全部、わたしがいけない
 
 ヒサ兄には行く所なんて
 どこにもない・・・
 
 だけど、私がユウさんとの
 関係を終わらせない限り
 
 ヒサ兄は、帰って来ては
 くれない」