そんな私に
ヘルメットを
差し出す貴方。

「えっ?」

「送ってってやるよ
 名前、教えて?」

「アサハです
 アサハ チトセ」

「ちとせ・・
 ああ、飴かあ
 切っても切っても
 顔が出てくる?」

「違います
 千歳緑色のチトセです」

「そんな色、あるの?」

彼は、私が受け取らない
ヘルメットを、無理やり
私の頭に被せた。

そして、あご紐を
きちんと締めてくれる。

貴方が何かを
友達に言おうとした時
トラックのクラクション
が二度、鳴り響く。

「トキワ、悪い
 こいつ
 俺がもらうわ」

「ヒサギ
 何、言ってんの
 お前?」

『・・・うわ』

慣れないヘルメット

クラクションの音

掻き消される

貴方の声

「・・・いいよな?」