自分の腕の中で眠る花を確認してから、俺は静かにベッドを出た。

リビングに行き、テーブルの上のハンバーグを見て、あいつと結婚するまで過ごした時間を思い出す。

冷めた反応しかしない俺に、あいつは笑って一生懸命返してくれた。最初は変な奴だと思ったが、そんな花に惹かれていっている自分がいた。

それは付き合ってからも結婚してからも変わらず…。真っ正面から受けとめてくれることが凄く嬉しかった。

夕飯を電子レンジで温めて、着いてあったテレビを消すと部屋には時計の音と、レンジの音だけが響く。

あいつが一人で俺を待ってくれたことを想像すると、嬉しい気持ちもあるが寂しい思いをさせてしまったな、と思った。

「明日は早く帰るか…」

瞬間、レンジの音が鳴り俺は夕飯を取りに行く。

テーブルに適当に置き、綺麗に作られたハンバーグを口に運んだ。

それはすごく優しい味がした。

『和也さん!!おいしいですか!?』

(そういえば、夕食の度に聞いてきたな…)

ふとそんなことを思い出した。俺が食べた後、花はこうして聞いてきた。

(まぁ…俺が自分から言わないからなんだろうけど…)

ため息を尽きながら、片手を額の上に乗せる。つくづく自分が嫌になる。

視界に映った時計を見ると結構な時間になっていた。

「そろそろ寝るか…」

夕食を食べた後すぐに風呂に入って、寝室へ向かった。