「俺も怒って悪かった。だけど、無理だけはするなよ」

「はい!!」

私は猫の様に彼の胸に頭を寄せてつけた。

彼は本当にわかってるんだか、と言いながらも私の頭を撫でてくれた。

「大丈夫です!!でも、一回くらは和也さんを見たいです……」

ちょっと反論すると彼はああ、ごめんな、とさらに優しい手つきで頭を撫でてくれた。

「つか、そろそろ『和也さん』は止めないか?結婚してる訳だし」

「和也"さん"を含めて和也さんのあだ名なんです!!」

私がとんちんかんなことを説明すると彼は、はい、はい、と諦めたように返事をした。


「今日はもう寝ろ」

耳の側からくる和也さんの息や低い声音がくすぐったくて、思わず肩をすくめた。

和也さんは何も反応せずに、さっきみたく頭を撫で続けている。

「うん。おやすみなさい……」