『それ、良く言われるんだけど。
私が付き合ってるのは
奏のお兄ちゃん。
奏とはただの幼なじみだから 。』
「そうなの?」
『うん。』
「 でも、私の事嫌いだよね? 」
『はい?』
私の突然の質問に
柚木さんは眉を潜めた。
「私は、もっと柚木さんと
仲良くなりたいんだ。
柚木さんと美衣と私は
三人で野球部のマネージャーだから。
柚木さんが私の事嫌いでも
すきになってもらえるように
努力するね? 」
思っていた気持ちを
全部、ぶつけた。
私は、こういう事に
全然慣れていなくて
少し汗をかきながら
必死だった。
『好きだよ、別に。
私、不器用だから
今まであんまり
優しく話せなくて
緊張してて、ごめんね?
私も、鈴音って呼んでいい? 』
柚木さんの表情は
今までで一番
優しかった。
それが嬉しくて
私は何度も何度も
頷いたんだ。

