なんだか、急に 寂しくなり、目元が 熱くなる。 視界がどんどんと ぼやけだした。 私、泣きそうなんだ。 そう理解した私は、鞄から ある物を取り出した。 それは帽子で、あの時の帽子だ。 私が持ってることで、 彼の温もりは薄れて しまっていたけれど これを持っていると 不思議と安心出来た。 その帽子を、深く被る。 泣きそうな顔を誰にも 見られないように、 気付かれないように、 私は帽子で顔を隠した。