『マネージャー、水ちょうだい。』

「は‥はい、どうぞ!」



私が初めて、木下くんと
交わした言葉だった。

たった、1言だったのに、
私はとても緊張していた。



水を手渡す その手が
ひどく震えたのを

今でも、覚えている。





はじめて、好きになった
男の子だったから

私は知らない感情に
振り回されてばかりだった。

緊張 、

恥ずかしさ、

可愛く見せたい気持ち。

不安、

焦り。



その全部が、
初めてだったんだ。