「それでは、今日も一日頑張りましょう。」

園長先生の明るい声を聞いて、この事実から目を背けることにした。


社会に出たら嫌いな人とだって上手くやっていかなくちゃいけないんだし…。


そんな焦燥感を漂わせた紗綾を心配そうに見る千晴に紗綾が気づくことはなかった。





「月野先生、こっちに来て。」
目尻にシワを刻んだすごく優しそうな女の先生が紗綾を呼んだ。


「はい。」
呼ばれて、慌てて紗綾はその先生のもとに小走りで行った。