実習に行くといつも子どもと仲良くなったと思ったらバイバイというように仲良くなるまでが長い。


そんな憂鬱なことを考えていた自分の頬を紗綾は両手で叩いた。


「明るく、元気に笑顔で!」

私は今日から保育士。

これから沢山困難が待ち受けているだろうけど、頑張らなくちゃ!


就職とともに一人暮らしを始めた紗綾は、誰もいない部屋に元気いっぱい「いってきます」を言って家を出た。





だが、元気だったのも束の間。

保育園に着いて先生方の前で園長先生に紹介をされているとき気づいてしまった。




目の前におっお、おお男がっ!



軽くパニックになる紗綾。

第三者からは分からないだろうが内心は、焦っている。

心臓は、いつもの倍の早さでリズムを刻み、軽く握りしめた手には嫌な汗をかいている。

紗綾はパチ、パチと何度か瞬きをして信じがたい光景が真実であることを悟った。