「失礼します、先生方まだ残られてたんですか?熱心ですね」


誰にでも気さくな千晴は、屈託のない笑顔で二人に喋りかけた。


紗綾はというと部屋に入ってからずっと黙り込んだままだ。

そんな紗綾を尻目に三人は、仲良くおしゃべりを続けている。


美月の態度も紗綾に向けたあれとは全く違う。


何か除け者にされた気分。

でも、あの輪に入る勇気なんて微塵もないし…。

「紗綾先生~」といって話しかけてくるアキヒロのそれが優しさからだったとしても、


男が苦手な紗綾には目線を泳がせて千晴に助けを求めることしかできなかった。


そんな紗綾の態度が気に食わなかったのか…。

「そう言えば、さっきね紗綾先生にドアのところで押されちゃって…。」


誰にともなくそう話し出した美月。



えっ…?
何を言ってるの?

ドアのところで押したのは、美月先生なのにっ。