「早く着替えて♪由美子先生が待ってるよ」

「大変、忘れてた」


バタバタと大慌てで着替える紗綾を千晴は笑いながら見ていた。



「千晴、お待たせ。行こう」

着替え終わった紗綾がショルダーバッグを肩にかけながら言った。


「そうですね、紗綾先生」

ふざける千晴に紗綾は「やめてよ」などと言い、笑顔で部屋をあとにした。


部屋から靴箱まではすぐで玄関ではまだ電話をする由美子先生の姿があった。


「先生まだ、話してるね。終わるまでその部屋で待ってよう」


「あっ…、うん」

千晴が言ったその部屋とはアキヒロと美月がいる部屋のこと。


気まずいな。
でも、ここで断ったら千晴に気づかれちゃう。

いつまでも美月先生から逃げられるわけじゃないんだし…。


紗綾は、意を決したように千晴のあとに続いた。