「紗綾先生~!」
二度目に呼ばれたときには、紗綾も諦めて声のする方へと目線だけ向けた。
「なんでしょうか?」
紗綾は、なるべく簡潔に用件だけ言えという空気を作った。
「ちょっと喋ってみたかっただけ♪それよりも掃除手伝おうか?」
はぁぁああ?!
一瞬、素が出てしまいそうになって笑顔を顔に貼付けてごまかした。
「…っい、いえ。後少しで終わるので大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」
最後のありがとうございますは、棒読みに近かった。
「後少しで終わるのなら一緒にやってパッパと終わらせちゃお。紗綾先生と二人きりで掃除なんて萌えちゃうね」
萌えるな~!
男ってだけでも苦手なのになんでこの人こんなに軽いの?!
保育士として許せないわよ、こんな人。
