う~んって悩んでると
「そーです」
横から声が聞こえた。
パっと見ると、さっきまで戸惑い気味だった瞬さんが平然とした顔で立っていた。
いや、そうだけどそうじゃないから…っ!
意味わからないことを発しようとしたアタシの声はタクの声に消された。
「まぢか~。
瞳の彼氏なんて初めて見たし。
俺の瞳が…。
瞳は俺のものだけど、瞳が選んだ男ならしょうがない!
譲ってやろう!」
「ありがとうございます」
はあ!?
アタシが選んだわけでもないし、アタシはものじゃない!
タクを睨んでると、そんな可愛い顔すんなって言われた。
アタシの睨みはそんなに迫力ないの?
「あ、でもなあ親父があれだよな」
「んだね。
お父さんってアタシは自由気ままに育ててくれたのに、瞳にはベタベタだもんねえ。
瞳を嫁に出すときのお父さんの顔想像すると、怖いわよね」
お父さんは基本、アタシに甘い。
もうベタベタ。
だけど怒るともうホントに怖い。
だって亜月のお父さんだしね。