「あ〜、だから悠夜君に逢わせたくなかったのよね」
「ごめんね、チカさん」
横にいるお姉ちゃんは、悠夜さんに刺をさすような言い方を始める。
それをサラリと笑顔で交わす悠夜さん。
感心しちゃう。
たぶんこの人、女の人の扱いに慣れてるんだろうな。
「じゃっ、ハルちゃん、兄貴が帰ってきたら呼びに来るね〜」
ヒラヒラと手を振りながら悠夜さんは、部屋に入っていった。
「あっ、買い物行かなきゃ」
「そうね。早く行きましょ」
カツン、カツン、とあきらかに不機嫌にヒールを鳴らすお姉ちゃんに連れられて、あたしは買い物に向かう。

