「つまり、あんたは兄貴のことが好き、ってことか」


ポンッ、と目の前で手が叩かれ、あたしはとっさに俯いていた顔をあげた。


「ま〜チカさんが協力しないでほしいらしいから、俺は協力しないけど」


目の前の彼は、思ったよりは加原さんに似てなくて。


なんだか少し変な感じがして、溢れそうだった涙はあっという間に引っ込んだ。


「それに兄貴、彼女は作らない主義だから、あんた傷つくよ?」


ハァ…、と隣にいるお姉ちゃんからため息がはかれた。


そういえば、お姉ちゃんにも言われたな。


傷つく?


そんなのが怖くて、好きなのを諦められるわけないじゃん!


「あたし、加原さんのこと諦めないから

 傷ついてやるんだから!!」


せっかく楽しみにしてた高校生活を目前にして、恋のチャンスをみすみす逃してたまるか。


そう意気込んだあたしを見て、目の前にいる彼は爆笑した。