お姉ちゃんの目の前にいる男の人。
一瞬、見間違えかと思ったけど、あたしが見間違えるわけがない。
あの人に似てる。
あたしが一目惚れをした、加原さんに。
「初めまして、加原悠夜です
まさか、チカさんに妹がいるなんて知らなかった〜」
「別に、あんたに言う筋合いはないでしょ」
どういう仲なんだろう。
というか、今、加原、って言ったよね!?
「なんでこんな所で逢うかな〜」
「えっ?なんの話ですか?」
なんだろう、このやり取り。
まるでお姉ちゃんは、あたしわこの人に逢わせたくなかったみたい。
状況が読めないあたしは、目が点となっているかもしれない。
「…あの、お姉ちゃん?」
「あ〜、言い忘れてたけどコイツ、加原さんの弟だから」
「弟さん?」
「そういうこと。
コイツはあたしのバイト先の後輩」
あ〜、だからお姉ちゃんと知り合いなんだ。
……って、なに納得してんのあたし!
「なんで言ってくれなかったの!?」
「あー、だから嫌だったのよ」
「なにが?」
「あんたを加原さんに近づけたくなかったから嫌だったの」
なに…それ。
あたしはてっきり、お姉ちゃんは応援してくれるんだと思ってた。
あたし、勝手に勘違いして、馬鹿みたい。

