【長】はるいろ



「ハルです」

「はっ、なんだよ?」

「だからー、あたしはあんたじゃなくて、ハルって名前なんです!

 ハルって呼んでください」


そんなことのために呼び止めたのかよ、と言わんばかりに嫌そうな顔をしている。


あたしとしては、これも重要なこと。


せっかくの片想い仲間(?)なんだから、協力しあいたいしね。


「あ〜、分かったよ。


 ハル、行くぞ!」


今度はあたしの力なんてびくともしないくらい、引っ張られていく。


ドキッ…


男の人のこうゆう瞬間って、少しだけ意識しちゃう。


…って、あたしにはコウさんがいるんだから、ダメだ!!


「おい、ハル。着いたぞ」

「えっ…わっ、いつの間に!?」


悠夜先輩の声で気がつくと、あたしは学校の前についていた。


結構いろいろ考えていたけど、今の一瞬で忘れてしまった。


「大丈夫かよ?さっきから呼びかけても、ずっと心ここにあらずって感じだったぞ?」

「あっ…はい。大丈夫です!」


「…なら、いいけど」


もしかして、心配してくれてる?


…なんか、嬉しいな。

人に心配されるのって。


「顔、ニヤけてんぞ」

「うふふ〜」

「なんだお前!?」


笑いが止まらない。

なんだかんだ言って、悠夜先輩は優しい人なんだと思う。