もし何かされそうになったら、逃げるしかないかな。

でも追いつかれそうだし……荷物で殴るとか?
私は横目で、傍らのキャリーケースを確認した。

そんなことを必死に考えていたら、なぁなぁ!と声をかけられた。

「あんたもしかして、里帰り?」

ヤンキーは私が持っていた手荷物やキャリーを見ながら言った。

え、私の考えてることバレた?
「はい、まあ……そんな感じです」
適当に返事をして、もう一度しっかり相手を見る。

ブリーチしたぜ!って感じで、傷んでそうな金髪。
ただギャル男と違うのは、ぼさぼさでセットとかはしてなさそうなとこ。でもパーマなのかは分かんないけど、全体的にはふわっとしてる。

顔はなんていうか、美形!って感じじゃないけど、目鼻立ちがハッキリしてて、ちょっとだけ濃いかも。

愛嬌ってやつかな?
お笑い芸人みたいな雰囲気。

で、プーマが飛んでるデザインのジャージの上下を着ていた。
「もしかして、もしかしてなんだけどさ!いや、違ったらごめんなさいなんだけど」

ヤンキーは私の探るような視線も気にせず喋る。


「あんた………凛ちゃん?高宮凛ちゃん!」