「あ、はい……」

私はなんて答えればいいのか分からなくて、曖昧に笑う。
相手はへらへらして、私のリアクションに構わず続ける。

「こいつめっちゃ人好きだからさぁ。誰か見つけるとすーぐ走ってっちゃうんだよねー」

「はあ、そうなんですか」

犬はキャンキャン言って、ヤンキーの手から逃れようともがいていた。犬はかわいかったけど、私は完全に警戒モード。

いや、なんとなくいい人そうなんだけど。
ただなんていうか、イキナリすぎて。

それとなく周りを確認するけど、私たち以外に、人気はない。
相変わらずの田んぼだらけ。