私の名前は、秘色と書いて
『ヒイロ』と読む。

私が5歳の頃に、病気で
亡くなった父が命名してくれた

素敵な名前。

珍しい名前。

父が、亡くなる前に病室の
ベッドから空を見上げて呟いた

『ヒイロ、お前の名前は
 本当は、ヒソクと読むんだよ
 ほら、見てごらん
 あの色だよ』

父が指差した方向を
見つめる。

雲の切れ間から灰みを帯びた
青緑色の空が広がる。