伊吹さんは

お弁当を手に持っている。

「イブキさん、お弁当
 ごめんなさい・・・」

「気にしなくていいさ
 ヒイロ、一人ぐらい
 俺が面倒みてやれる」

「ありがとう」

少し古いタイプの
賃貸マンションに住む

伊吹の、部屋の前。

鍵を開けて、中へ入ると
靴が乱雑に置かれている。

そのひとつは

黒いピンヒール。

「アイツ、またかよ・・・
 ヒイロ、済まない
 
 ちょっと
 外で待っててくれ」