青蝶夢 *Ⅰ*

あそこは、地獄・・・

いい思い出なんて何ひとつない

私へと伸びる手

澱んでいく空気

色褪せる世界

苦しい・・・

「ヒイロ、俺の話を・・・」

私は、両手で耳を塞いだ。

「嫌だよ、嫌
 あそこに戻るのは
 絶対に、イヤ
 
 ・・・イヤなの、嫌」

芳野は、席を立ち
取り乱した私を、力強く
抱きしめてくれた。

そして、頭を撫でながら
耳元で、低い声で告げる。

「戻れなんて言ってない
 先に進む為に、どうしても
 その場所へ行く必要が
 あるんだ」

『先に進む為』