この部屋を出て行く
茅野さんの、悲しい後姿が
私の胸を締めつめる・・・

食卓に並ぶ、料理
美味しそうな香りが漂う。

「ヒイロ、聞いてる?」

上着を脱いで、隣の椅子に
置く、芳野。

「えっ、あっ
 ごめんなさい
 何・・・かな?」

芳野は、私を
じーっと見つめる。

私は、その瞳から視線を
逸らしてしまう。

「あっ、サラダ・・・」

キッチンの冷蔵庫の前で
ドアを開ける私。

「俺の留守に
 何かあったのか?」