街は、薄着の若者達で溢れ
太陽がジリジリと照りつける。

汗ばむ陽気の中を抜けて
私は今、お世話になるはず
だった、モデル事務所に
来ていた。

私は、ここで

夢を掴むはずだった。

一人で強く、生きていく為に。

「契約を結ぶ前で良かったわ
 それにしても、あなたに
 付き合っている人が
 いたとはね」

加賀さんは、とても残念そうな
顔をして、私を見つめた。

こんな、ちっぽけな私の可能性
に、かけてくれようとした彼女

私は、申し訳ない気持ち
でいっぱいになる。

「すみません
 私の為に、色々と
 ご相談にのって
 頂いたのに・・・」