タクシーに乗り込んだ秘色は
運転手に行き先を告げる。

「この辺りで、一番近い
 産婦人科病院に
 行ってください」

「産婦人科ですかぁ?
 今、調べますので
 しばらく
 待っていただけますか?」

「はい」

隣に座る芳野は
豆鉄砲を食らったように
大きな瞳で私を見つめた。

「ヒイロ・・・お前
 妊娠してるのか?」

「詳しい事は病院で
 調べてもらわないと
 分からない
 
 だけど、きっと・・・
 そうだと思う」

「俺の・・・子?」

「ヨシノ
 貴方との子供なら
 私、とっても嬉しいけど
 
 ・・・きっと違う」