そして、部屋を出て行った。

伊吹の隣には、下着姿で眠る
女性、秘色の姿があった。

茅野は、遠い昔に芳野が感じた
想いそのままに、痛感する。

信じていた人の裏切りに彼女は
肩を震わせて涙を流す・・・

玄関のドアが閉まる音がした。

その音に、私の体は
ビクッとなる。

「ヒイロ、心配するな
 カヤノと話してくる
 ・・・」

服を身に纏い

部屋を出て行く、伊吹・・・

自分の存在が、彼女を苦しめる
その事実に、私は
何ともいえない気持ちになる。