「イブキ、鍵、どこだ?
 どこにある?」

「・・・ズボン
 ポケット」

「自分で出せよ」

「・・・・・・」

「マジかよ」

芳野は仕方なく、伊吹の
ズボンのポケット、左側に
手を入れた。

「・・・無いし」

右側のポケットに入れた
芳野の手を握り締める

伊吹の手・・・

強く、握り締める。

彼はそのまま、ズボンの
後ろポケットから鍵を取り出し
家のドアを開錠した。