「ヨシノ
 本当に、お店に来るの?」

「ああ」

ため息をつく、秘色の鼻先を
軽く抓りながら芳野は言う。

「あんま緊張すんなよ
 仕事なんて、この際
 どうでもいいんだから
 
 俺は、お前の制服姿が
 見たいだけ
 
 ただ、それだけ」

「何、それ・・・

 ヨシノ
 言っとくけど
 制服は、ズボンだよ」

「嘘だろう?」

残念がる芳野の瞳を見つめて
私は言う。

「うん、嘘だよ」

「よっしゃぁ」
 
その芳野の、心からの
雄叫びに、私は
大きな声で笑ってしまう。

私の笑う声につられて
貴方も笑う・・・

芳野に淹れてもらった珈琲は
少し大人の味がした。

愛されて、求められて

抱かれる喜び・・・

それは、天にも昇る幸せ・・・

私は、それを知らない。