青蝶夢 *Ⅰ*

「はい
 ヒイロ、どうぞ」

「あっ、ありがとう」

彼女は、真赤な唇で
カップに口をつける。

きっと、彼女はそれを
気にしたり、拭ったりしない
だろう。

口紅の付いたカップを
絶対に洗ったりしない・・・

「おいしいよ、イブキ」

「だろう?」

伊吹さんは椅子に腰を下ろし
茅野さんだけを見つめて
彼女の話を聞いている。

私はというと
そんなことばかりを思いながら
彼女の動作の一つ一つ
を細かく監視している。

こんなに彼女の事が
気になるのは何故だろう・・?

芳野が彼女の事を
好きなのかもしれない

だから・・・?