「ヨシノ
 出なくていいのか?」

「ああ
 今日は、もう
 女に逢う気分じゃない
 疲れた」

芳野さんは、俯き
両手で顔を覆う。

貴方が疲れいるのは

私の買い物に、付き合わせて
しまったせい・・

「・・・ごめんなさい」

「ヒイロ
 何、謝ってんの?
 お前が謝ること無い」

伊吹さん・・・

「そうだ
 疲れたのは
 日頃の運動不足が原因
 
 お前のせいじゃないさ
 謝るな」

芳野さん・・

「はい・・・」

買い物した荷物を持ち
帰宅した私達は、玄関先で
靴を脱ぐ。

ふたつの大きな背中。

私は、彼らに
買い物に付き合ってもらった
御礼を、ちゃんと心から
言おうとした。