青蝶夢 *Ⅰ*

優しいキスに、私の心は
安らぎ、静かに目蓋を閉じた。

ドアの外に洩れる私の声を
聞いていた、芳野さん。

私の中に潜む、悲しみを
ほんの少しだけ貴方は知る。

出かける前に
もう一度、顔を洗った私。

洗面所の鏡に映る私の目は
これでもかってぐらいに
腫れていた。

目蓋が、重い。

「じゃあ、俺
 先に行って
 車を出してくるわ
 
 ヨシノ、玄関の鍵を頼む」

「ああ」

伊吹は、家を出て行く。

「すみません
 待たせてしまって・・・」

私は、伊吹さんの姿を探す。

「イブキなら、車を表に
 出しに行ったよ

 じゃあ、行こうか」