青蝶夢 *Ⅰ*

「ヒイロ、用意できたか?」

開いたままのドアの中で
抱き合う私と伊吹さんの姿を
芳野さん、貴方は見つめる。

伊吹さんは、私を抱きしめた
まま、彼に言う。

「落ち着くまで
 
 少し、待ってやって」

「ああ」

ドアが、ゆっくりと閉まる。

貴方はドアの横、白い壁に
もたれて、息をつき

髪を掻き揚げる。

「大丈夫か、ヒイロ
 
 電話、親から?」

「ううん、違う
 友達に、最後の電話をしたの
 もう、逢うことはできない
 そう思ったら、寂しくて
 悲しくなっただけ」

「友達となら、また逢えるさ
 そうだ、この場所を教えた
 って構わない
 
 だから、もう泣かないで」