遠い記憶・・・

『好きなの、青い蝶?』

学生服を着た貴方は

少女の髪に飾られた

青い蝶の髪留め

を指差した。

『すきだよ
 
 お兄ちゃんもすき?』

『見せてあげようか?
 
 本物の、青い蝶』

小さな背中に
大きなローズ色の
ランドセルを背負い

貴方の大きな優しい
手に引かれ

私は手入れの
行き届いていない

誰も住んでいない

一軒家の広いお庭を
歩く。