聴いた事の無いリズム
指が動く
口が動く
白い空間に何かが響く
視力の無い眼を凝らして
あてずっぽうで口ずさんだ
あの時君は
どうして怒ったんだっけ
曖昧になる記憶が
存在しない記憶と混同する
あり得ない筈の現象が
どんどんリアルになっていく
聴いた事の無いリズム
指が動く
口が動く
白い空間は静かに揺らぐ
流れ込む映像に病んで
痛む心から血が流れた
あの時君は
どうして僕の手を掴んだ?
救いが欲しい
叫ばずとも
誰かが分かってくれる?
聴いた事の無いリズム
指が鳴らし
口が奏で
白い空間にひびが入る
嘘つきだと君は僕に
確かに言い
確かに発し
僕は確かに空間を壊した

