空色の初恋




すぐ近くの教室の扉へ向かって行く。


廊下と教室の間にある壁には窓がついていない為、教室内は窺えない。


扉は、教室の前方に1つ引き戸が在るだけだ。



建物はデカいのに、戸には磨り硝子があるあたりは普通の学校みたいだ。


中途半端なところだな。



先生が立ち止まって振り返る。


「ちょっと待ってろ。すぐに呼ぶから。」


そう言って入って行く。


ピシャッ。


目の前でドアがスライドする。

……どうせ入るんだし、別に閉めなくてもよくね?


すぐ閉めるのが癖になってんのか…?



まぁ、どうでもいいか。



つい他人を観察してしまう。


ポーカーフェイスのジジイから考えを読み取ろうとし続けた結果だ。





そういえば、教室がやけに静かだな。


俺がいた学校は教師が来てもうるさかったのに。



育ちがいいと違うんだな。


と、思っていたら



「今日は静かだな。そんなに転校生が気になるか。」


なんだ。


どこも一緒か。



「じゃあ入ってもらうか。野田。」


「はい。」


ドアを開けながら返事をする。







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