それにしても、こんな扱いを受けたのは久しぶりだ。
一応は令息なのに普通の学校に通っていたから、教師や大半の生徒の態度が他とは違った。
よそよそしかったり、媚びたり。
あれはウザかった。
だから、家を気にしない一部の生徒としかつるまなかった。
でも、この森先生は普通だ。
資産家ばっかの学校だから当然か。
ここに来て唯一の良いことだな。
「早速教室に行くか。」
「はい。」
話しながら歩き出す。
「1年の時にクラス委員をやっていた高橋 葵って奴がいる。そいつに校舎内を案内してもらえ。ここは広いからな。」
「はい。………ホントに大きいですよね。」
伝わらないと分かっていても、皮肉をこめて言ってみた。
「だろう?職員室までまよわなかったか?」
案の定、返ってきたのは普通の返事。
「いえ、生徒さんに尋ねたので、間違えず来ることが出来ました。」
「そうか。良かったな。」
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