帰る時間になると、翔の周りにはまた女子が群がる。
寮までは、同じ敷地内にあっても多少歩くので、一緒に行こうとしているらしい。
キャアキャアうるさい。
他のクラスの奴等まで来て騒いでいる。
私は早く帰りたくて、いつもは校門付近まで一緒に行く葵達にじゃあ、と言ってさっさと歩いていく。
帰り道。
私は、翔のことを考えていた。
名字が変わった理由は分かった。
養子に入ったから。
でも、どうして養子に入ったの?
養子なんて、興味ないって言ってたのに。
それに、どうして私がいることを知っていたの?
調べれば分かるけど、どうして調べたんだろう。
知っていたなら、別の学校に行けばいいのに。
新しい親に言われて仕方なく来るんだったら、孤児院の先生でも通して言えば、私が他の学校探したのに。
沢山の疑問がある。
色々考えていて、
後ろから聞こえる足音に、気付くのが遅れた。
昨日、告白された処まで来ていた。
鏡を使わなくても分かった。
足音だけで、
後ろにいるのが翔だと、私は確信した。
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