美羽達は、既に弁当を片づけていた。
美羽が私を認めて、声をかける。
「優月、おかえりーっ。岡部くん、何だったの?わざわざ呼び出したりして。」
「何でもないよ。」
私は曖昧に応える。
美羽は不思議そうな顔をしたまま。
「えーっ?何もないってことはないでしょ!」
何で皆何でもかんでも知りたがるかな。
鬱陶しく感じる。
「本当に何でもないから。」
美羽が知りたがるようなことじゃないから。
「……分かった。」
不満げに唇をとがらせているが、諦めてくれた。
私は椅子に座って、残っていたお弁当を食べきり、
翔は3人に溶け込み、普通に世間話をしていた。
もう、私を見なかった。
チャイムが鳴り席に着くと、いつの間にか、岡部が隣の席に戻っていた。
黒板を見て岡部が視界に入るのが嫌で、5・6限目は、ずっと窓の外を見ていた。
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