葵の笑い声が聞こえた。
隣には翔がいる
仲良くなってしまったらしい。
私たちの処に来て、私達を紹介しだした。
「この子が安藤 陽菜で、この子が橘 優月、で、知ってると思うけど、この子が清水 美羽。」
手で示しながら、順番に説明していく。
翔は、よろしく、と言って笑った。
美羽は分かるが、陽菜まで朱くなっている。
厄介だ。
3人と仲良くなってしまえば必然的に、私まで近づくことになる。
なんでよりによって葵と親しくしてんだよ。
「野田君って優しいんだよ。困ってる子を助けてたんだよ。」
葵が懐いてしまった。
葵は真面目だから、美羽のような眼で見ているわけではないだろうが。
「別に、普通のことだろ?それより、一緒に弁当食べてもいい?」
───は?
「もちろん!」
と、美羽。
おい。
「ありがとう。」
何故か5人で弁当を食べている。
楽しそうな4人と、笑顔で無言の私。
非常に不愉快な状況だ。
どうやって抜け出そう。
トイレ…?
いやいや、もって5分だけ。
もっと長く、此処には戻りたくない。
さて、どうしたものか。
そろそろ限界という頃に、岡部が来た。
いつも食堂で食べている岡部は教室に戻って来るなり、
「橘、ちょっといい?」
と声をかけてきた。
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