私は、暫く笑い続けたが、岡部の言葉に従うことにした。
本当のことを知っている人がいるということが、なんとなく、楽だった。
岡部の存在は、私の心に影響を与えなかった。
ただ、無意味に嘆くことは減った。
「諦めたんじゃなかったの?」
今では、本音を漏らす相手になっていた。
私が岡部を、人を信じることはないけれど。
陽菜達よりは近いかな。
「簡単には、無理だよ。癖になるのは嫌だし。」
窓の外、空を見上げる。
学年が変わり、教室の場所が4階から3階になって、空が遠くなった。
空で起きた全てを、赦されたような気になってしまう。
「ふぅん。ま がんばんなよ。」
「どーも。」
私達の会話は、こんな覇気のないものばかりだった。
「そういや今日、転校生がくるんだって。」
今更?
何も聞いてないんだな。
「知ってるよ。昨日言ってたじゃん。」
岡部の方を向いた。
呆れ顔で。
「あー…。そうだっけ。」
じっと見てくる。
「興味あんの?転校生。」
「特には。」
また、じ、と見てくる。
なんだ?
少し経って、ふーんと言って伏せてしまった。
寝てしまったらしい。
もっと、転校生のことを考えておけば良かった。
