空色の初恋




───ねぇ




『なんで笑わないの?』




人気が出始めたばかりの岡部のことを殆ど知らなかった私は、




屋上に呼び出されたのを、また告白かと思って




油断していた。




『いつも、顔つくってるよね?笑顔だけじゃなくて、全部。』



岡部は、なんでもないことの様に言った。




『………』




口が半開きのまま、私は何も言えなかった。




長身の岡部に見下ろされる。




『ねぇ、なんで?』




『……………別に…つ、くって…なんか……』




動揺がおさまらないまま、抵抗したが。




『嘘つかなくていいよ。人に顔が見えなくなると無表情になるの、何度も見てるから。』




うそ……。




誰にも見られないように気をつけていた筈なのに……。




すると、考えを見透かしたみたいに。




『嘘じゃないよ。教室の窓からよく見えるから…校門とか。』




登下校の時、グラウンドに出る時、校門付近を通る。




『まぁ…それだけじゃないけど、特に多いかな。』




他人に興味なさそうなのに、なんでそんな洞察力鋭いんだよ。




『だから何?関係ないでしょ』




冷静さを取り戻そうと、言った言葉だった。




出来るだけ、冷たい目で。




でも