掛け布団を握りしめる。
ハッとして目を覚ます。
カーテンの隙間から漏れる太陽の光が、珍しく眩しくない。
いつもなら、目がチカチカする程瞳に刺さるのに。
白い夢を視ていたから…?
毎晩視ている悪夢を視なかった。
代わりに、幸せだった頃の夢を視た。
私が笑って居られた頃の、醜い赤色なんて何処にもない日々の夢。
前に汗をかかずに目を覚ましたのは、1年と少し。
私が笑っていた。
皆が笑っていた。
それを私は、まるで、関係のない第三者として見ていた。
目の前に自分が居るのに、自分とは別人だった。
もう、あの頃には戻れないのだと、云われたような気がした。
あの日、掴むことが出来なかった温もりが恋しい。
