BABY×DOLL

「キ…キスシーン?!」

あたしはビックリした。

恋もした事ないのに好きでもない人とキスするの？

男の人と手を繋いだ記憶すらないってのに!?

「一応台本もらってるけど、読んで考えてみてよ？セリカが嫌なら断るわ」

「うん…社長はもちろんその事知ってて言ってたんだよね？」

「そうよ？簡単に台本も読んでたし…」

「そう…台本読んでみるね」

「はい」

遠藤さんから台本を受け取りマンションへと戻った。

あたしは一人暮らしをしていた。
実家はとある地方。

通えない事はない距離だったけど

仕事が都内ばかりって事もあったけど…正直言えばママと一緒に住みたくなかったから。

案の定、家の留守電にはママからのメッセージが入っていた。

『セリカ？今月の振込がなかったわよ。約束でしょ？……』

何度聞いた台詞だか！

あたしはそこまで聞いてメッセージを止めた。ムカついてメッセージを消す。

どうしてママはあたしのお金の話しばかりするのよ!?
あたしはそれなりに働いてるのよ？

あたしがこの仕事を始めた頃からママはあたしにお金の要求をするようになった。


だからあたしはママが嫌いなのよ！