BABY×DOLL

彼は執拗にあたしの首から下、胸の上までをキスした。

濡れ場なんてその程度なのだから仕方ない。

他の映画を観たって、それで愛を表現していた。

いかに相手を求めているか…それを表現しなくちゃいけないのだから虎も大変だったと思う。

だけど、あたしはそれどころじゃなかった。

恥ずかしいのに
気持ちよくて…ドキドキする。

『小夜…愛してる』

虎が秋人の台詞を言う。

そして首筋にキスをするフリをして、また耳元でこっそり囁いていた。


──本当だよ



もう何がなんだかわからなくなって…あたしは虎にしがみつくしかなかった。

彼の身体の重さを感じながら…




「カーット!」

その声で、あたしはいきなり現実に引き戻された。

そうだ…撮影だったんだ…

上昇した体温は、しばらく冷めない。

あたしは離れていく虎を見て切なくなった。

───このまま彼に抱かれたい…

そんな風に感じるくらい。虎と触れ合いたかった。





映画の撮影は順調。
あたしは疑似恋愛どころか本気で虎に恋していて

小夜の気持ちにどんどんリンクしていった。

そして
四ヶ月の撮影はあっという間に過ぎていった。